路上から見た、小さな憲法。

アクセスカウンタ

help リーダーに追加 RSS 日本的秩序と「見えない憲法」の可視化(3)−棟居快行著「憲法学再論」〔信山社〕解読−

<<   作成日時 : 2007/03/22 00:32   >>

トラックバック 0 / コメント 0

今回のテーマ:日本国憲法は実効性を持たれてきたか?(その2)(同著50頁)

【解読レジュメ】

(0)前提
 法律の世界では、憲法がチャンピオン
 しかし、日本社会がそうなっているかどうかは別問題
 9条を待つまでもなく、実際の日本社会は、
 日本国憲法が基本法でありかつ最高法規であったとは言いがたい・・・

(1)国会は憲法を遵守してきたか(前回の記事)

(2)行政府は憲法を遵守してきたか

 行政府は、法治主義(憲法の大原則)を「行政指導」の名の下に迂回してきた。
 「行政指導」の中身といえば、国会について述べた(1)のAの業界の既得権保護の性格が強く、日本国憲法では説明のつかない価値を追及してきた。
     ↓
 憲法的観点から見れば、個人も、法人も、自己責任に基づく自由な「自己決定」が認められている。
     ↓
 個人の場合、それは個人の尊厳にかかわる最重要事項である(憲法13条)。
     ↓
 ところが、官主導の経済運営では、個人や企業の自由な創意工夫ではなく、官製の事業計画が割り当てられる。たとえば、ベンチャービジネスの参入の排除など・・・。

【澤田コメント】

 まず、法治主義(憲法の大原則)というのは、立憲主義的観点から導かれる帰結といえるであろう。
 私見では、人類が立憲主義憲法の時代に入った以降、国会・行政府・裁判所などの国家の機構は、宗教・道徳観・個人の価値観などによる運営を捨てて来たのだ、ということが「法治主義」の原点であると考えているわけだが・・・。

 棟居教授は、このような前振りをした上で、「個人の尊厳」を持ち出している。この流れは、ドゥオーキン(Gerald Dworkin)の「権利論」(Taking Rights Seriously, 1977)、すなわち「権利について真剣に考える」を想起させられる。

 なお、ベンチャービジネスについては、会社法施行に伴い既に廃止されたが資本金1円での会社設立を認める「確認会社」の導入や、平成18年5月1日から施行された会社法などによって様々な種類株式の発行や会社の機関構造の自由な選択が認められ、また資本金規制の緩和などがなされ、実現しやすくなってきている。しかし、これは十数年遅れでアメリカの手法を取り入れたにすぎず、遅きに失した感があろう。
 また、この会社法は、敵対的買収に対する防衛手段や、ベンチャー企業を設立し易くする会社の仕組みをお膳立てしたにすぎず、各種の業法(銀行法など)によって、新規参入規制が厳重になされている点には従来からさほどの違いはない。

 ところで、「行政指導」の類に属すると思われるが、近時の貸金業規制法改正前の貸金業規制法に関する金融庁の事務ガイドラインは、まさに業界益を色濃く印象付けるものが多数含まれていた。国会による立法では貸金業規制法において利息制限法を大幅に超過する利息の受領を認めてみたり、行政機関による行政指導では極めて悪質な違法年金担保などを放置してきた事実もある。
 すなわち、国会と行政機関が、一体となって、資金需要者たる消費者保護より、業界益の保護に傾いていた事実としては、わりと明らかな例であろう。
 なお、違法年金担保に関しては、下記記事を参照のこと。

   http://sawasawa-kum.at.webry.info/200703/article_4.html

   http://sawasawa-kum.at.webry.info/200703/article_5.html

 次回は、裁判所が憲法を遵守してきたか否かを検討するが、どうもこの国の三権は三位一体となって憲法とは異なる価値の実現を求めているのかもしれないといった予感がする。

 法の支配原理の下では、裁判所だけは、そうあって欲しくないが、いかがであろうか・・・。次回、その真実が明らかになる。

 澤田章仁

設定テーマ

注目テーマ 一覧

月別リンク

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文