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今回のテーマ:仮説としての「見えない憲法」(同著52頁) 【解読レジュメ】 (1)「見えない憲法」とは @私見(棟居教授)によれば、この国では、国家機関を含む社会全体が、日本国憲法とは別の、不文の基本法ないし「最高法規」によって規律されている。それは日本社会にどっぷり浸かってきた者なら誰でも知っている普遍的な規範である。これを「見えない憲法」と呼ぶ。 A「見えない憲法」は、日本国憲法と区別して使い分けられ、人々の意識に浸透し、国家や社会を動かしてきた。 紙に書かれた日本国憲法=「見える憲法」 紙に書かれざる不文の最高法規=「見えない憲法」 Bしかし、この「見える憲法」という建前と、「見えない憲法」という本音の使い分けの行き詰まりがきた。 ***「見えない憲法」の例*** ア 国は自然災害からも国民の生命財産を守る責務を負っているという。 →確かにこの大義名分でもって河川工事を行なってきたが、 →大震災の被害の個人補償は及び腰であった。 イ 企業は従業員の終身雇用を保障するという。 →その代償として、従業員は企業に対し雇用契約では説明のつかない忠誠を尽す。 ウ 差別はよくないという。 →しかし、学歴差別は努力や才能の結果であるから当然として正当化する。 →また、子どもの健全な成長や老人介護のためには専業主婦がよいとして、税制や年金等で優遇する。 (2)「見えない憲法」の基本的命題 以上の雑多な「見えない憲法」の基本的な命題は次の4点である。 @弱肉強食の自由競争経済ではなく、国家による競争制限的な社会経済秩序が望ましい。 A国民の雇用を確保することは国家及び企業の責務である。 B教育は、平準化・規格化された個人の再生産を目的とすべきである。 C国家は、国民の安全と財産を保護すべきであり、国民自身に成り代わってでもその責務を実現する義務と権限を有している。 以上のような基本的価値が、立法・行政・司法で貫かれてきた「基本原理」である。 ↓ しかし、こうしたローカル・ルールは、今日のグローバル・スタンダードの容赦のない波及の下で、立ち行かなくなった。 中身が「見えない」のだから、内容の良し悪し以前に失格である。 ↓ そこで、「見えない憲法」を整理し、この国を覆い尽してきたものを明らかにすべき。 ↓ その上で、これを国際標準に合わせて変更するのか、それとも部分的にでも残すのか。 ↓ 以上のような検討で得られた結論は、日本国憲法の改正という形で、「見える憲法」とすべきであろう。 【澤田レジュメ】 これまでを振り返ってみよう。 まず、この国の立法・行政・司法は日本国憲法を遵守してこなかった。 ↓ 立憲主義・法の支配は低下し、別の価値がこの国を覆い尽してきた。 ↓ とくに少数派の「個人」の価値は軽んじられ、少数派に鈍感な人々の価値が優先されてきた。 ↓ すなわち、この国には、紙に書かれた見える日本国憲法とは別の、書かれざる不文の「見えない憲法」が存在する(仮説)。 ということである。そこで、棟居教授は、国家や日本社会に対し、頑固に日本国憲法を押し付けることはせず、日本国憲法を改正すべき点があるならば改正しよう、という発想に立つのである。 ところで、棟居教授は、「見えない憲法」には、4か条が存在するという。次回以降、この4か条を逐条解説することにしよう。 澤田章仁 ************************************ |
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