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違法年金担保貸付は、そもそも法律を遵守する気のない一部の悪質な貸金業者のみが行なってきたものではない。法律が禁止していることを十分に理解しながら、その法律の適用の網を潜り抜けようとする利巧な貸金業者も行なってきた。 してみると、確かに、【後編】で説明する平成16年の貸金業規制法の改正後は、違法年金担保貸付のあらたな被害報告は減少しつつあるが、また新たな手口で法律の網を潜り抜けようとする貸金業者が出てくる可能性も否定できない。したがって、今後も警戒を欠かすことはできない。 違法年金担保貸付を行う貸金業者は、長期間にわたり、年金等の受給権者である債務者や保証人にキャッシュカードや預金通帳などを預けさせ、年金支給日には社員総出で銀行に足を運び、債務者や保証人の年金等の受け取り口座から年金等を引き出して返済に充てたり、また、中には受給権者に無断で自動引き落としの依頼書を作成し貸金業者の銀行口座へ自動引き落としの手続きをして弁済に充てる方法をとっていた業者もある。さらには、受給権者に無断で受給権者名義の銀行口座を開設し、その銀行口座に年金等を振り込ませる手続をとっていた業者があることも報告されている。 以上のような手口により貸付を受けた人々は、相当な長期間にわたって高金利を収奪され正当な年金等の受給額が減少したことにより、必要な医療を受けられなかったり、食事の回数を減らしたり、古くなり安くなった食品のみを購入して空腹をしのいだり、その結果健康が損なわれてしまったり、光熱費を支払えずに電気もガスもない極めて過酷な生活を強いられてきた。 このような違法年金担保貸付によって生存を脅かされ続けてきた人たちには、過去の分も含めて、貸金業者に対する「不法行為」の損害賠償や慰謝料を請求することで被害の回復につなげることが必要だろう。貸金業者の違法年金担保貸付を、不法行為(民法709条・同710条)にあたるとして、損害賠償(慰謝料含む。)の請求を認めた裁判例は多い。 国民年金が担保とされた事案につき大阪地方裁判所平成17年3月3日判決(消費者法ニュース63号40頁)/原爆手当が担保とされた事案につき広島地方裁判所平成17年2月24日判決(消費者法ニュース63号149頁)/連帯保証人の障害年金が担保とされた事案につき大阪簡易裁判所平成17年1月17日判決(消費者法ニュース63号154頁)/老齢年金が担保とされた事案につき東京地方裁判所平成18年8月25日判決(消費者法ニュース70号102頁)/厚生年金等が担保とされた事案につき大阪地方裁判所平成18年10月31日判決(消費者法ニュース70号256頁) ところで、もともと、公的給付の受給権を定めた各種年金法や生活保護法のような法令は、憲法第25条を根拠に制定されたものであり、憲法第25条の趣旨を活かすために、それぞれの法令において「譲渡」や「担保設定」を禁止する規定がある。 したがって、もともとこのような法令に基づく年金等の公的給付の受給権は、一部の例外を除き、貸金業者でなくても、誰であっても、担保にとるようなことはできないということを明確にしておきたい。 なお、刑事的効果については、下記URL参照。 http://sawasawa-kum.at.webry.info/200703/article_5.html BY 澤田章仁 |
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