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help リーダーに追加 RSS 日本的秩序と「見えない憲法」の可視化(2)−棟居快行著「憲法学再論」〔信山社〕解読−

<<   作成日時 : 2007/03/20 14:45   >>

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今回のテーマ:日本国憲法は実効性を持たれてきたか?(その1)(同著49頁)

【解読レジュメ】

(0)前提
 法律の世界では、憲法がチャンピオン
 しかし、日本社会がそうなっているかどうかは別問題
 9条を待つまでもなく、実際の日本社会は、
 日本国憲法が基本法でありかつ最高法規であったとは言いがたい・・・

(1)国会は憲法を遵守してきたか

 国会は、憲法上の価値とは別個の価値の実現を、せっせと法律で行なってきた。
 たとえば、

@1995年の刑法改正前に存在した旧刑法200条の尊属殺人罪について
     ↓
 1983年(昭和48年)の最高裁判決で憲法14条1項違反で違憲判決が出された
     ↓
 普通殺人罪(刑法199条)は3年以上(現在は5年以上)の有期懲役があり執行猶予が可能であったが、旧刑法200条は死刑又は無期懲役のみだったため執行猶予ができなかった・・・。この差が非常に大きかったのであるが・・・。
     ↓
 このように、国会は、最高裁が違憲だと断じても、長期間にわたり、旧刑法200条を存続させてきたのである。
     ↓
 もっとも、最高裁は、普通殺人罪と尊属殺人罪を比較して後者が重すぎるとしたのではない。親を敬うべきという旧刑法200条の目的を認めながらも、それにしても重過ぎるといった同条のいわば手段を違憲としたのである。
     ↓
 それでも、国会は「親を敬う規定は変えられない」と意地を貫いたのだ。
     ↓
 すなわち、国会(とくに与党議員の頭)には、憲法よりももっと大事な道徳観・価値観が存在してきたのである。


A憲法25条の生存権保障が弱者保護の課題を国会に課している。
     ↓
 しかし、国会が作った、大規模小売店舗法(平成10年廃止)などの競争規制立法は、むしろ業界秩序の維持や既得権保護の色彩が強かった。
     ↓
 大店法の大義名分は(小規模小売店などの)弱者保護だったが、真の目的はこれに反するものであったことは明らか。
     ↓
 国会では、(小規模小売店などを含めた真の)自由競争や消費者保護より、既得権保護や業界秩序の保護が大事だ、という価値観が支配的だった。

【澤田コメント】

 今回からは、これまでの日本社会における「日本国憲法の実効性」がどれほど確保されてきたかを検証するテーマとなる。すなわち「立憲主義」がどれほど日本社会に定着していたのかの検証だと考えてよかろう。

 今回は、三権のうち、国会についての検証である。@尊属殺人罪とA大規模小売店舗法を例として挙げ、憲法理念よりも優越する国会の価値観を指摘している。このほかにも、このような例は枚挙にいとまがない。

 とくにAについては、国会は、弱者保護のためには、以下のような構図を描いていたに違いない。

  既得権保護や業界秩序の保護を図る
      ↓
  これにより大規模倒産を防ぐ
      ↓
  これにより失業者が出るのを防止できる
      ↓
  結果的に弱者保護につながる


 まあ、失業させておいて、あとで生活保護だとかいうより、あらかじめ失業を防止した方が国家財政としても良いであろうということなのだろうか・・・。

 しかし、その結果、自由競争は、小規模事業者のみならず大規模事業者にとっても官僚のペン1本で規制(操作)されてきた感がある。その意味では「官僚支配」があらゆる分野で徹底されてきたことも事実である。

 そう考えると、国会には、価値観とか道徳観以外にも、憲法より優越する様々な戒律?があるのかもしれない。

 いずれにしても、次回は行政府、そしてその次は裁判所が、それぞれ憲法を遵守してきたかを検証する。お楽しみに。

 澤田章仁

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